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村岡キミ子県議の質問
【1】フォレストシティ計画の許可について
村岡 県は平成九年一月二十二日,和興開発に都市計画法,森林法,宅地造成法等の許可をおこなった。ところが,平成十年二月十八日,和興開発は会社更生法開始を申請,裁判所は十一年五月十一日申請を却下,破産を宣告した。和興開発の決算報告書では平成八年十月三十一日時点で,負債額六百七十三億円,債務超過額三百六十八億円,十年二月十八日時点では債務超過額四百七十億円に達し,融資を受けた残高は紀陽銀行と紀陽ビジネスファイナンスあわせて五百五十八億円にも達していた。
 開発許可は正しかったのか
 これらの状況から許可条件は満たしているとは言えない。許可取り消しは自然であって,県の行政責任は厳しく問われなければならない。資力信用に問題はなかったと今日でもかんがえているのか。
■大山土木部長
 必要書類が整っていたため許可をおこなった。すでに和歌山市に権限を移譲している。資力信用は,資金計画書のほか,事業経歴書,納税証明に統一することと定められており,資金計画については,処分収入を過当に見積もっていないかどうかに留意することになっている。

村岡 森林法改正によるゴルフ場造成に係る新基準は施行されて,八年になる。平成四年の駆け込み申請以前のものについては未だに旧基準が適用されている。旧基準の廃止を国に求める考えは。
■島本農林水産部長
 許可の条件に違反した場合に取り消しができる。事業の実行が困難になったと考えられることから,既に破産管財人に対し,事業廃止届の提出を指導している。相当の期間もすぎていることから,国とも協議をおこなってまいりたい。

【2】県営住宅の合併浄化槽維持管理費問題について
村岡 県営川永団地(五百七十六戸)はこの四月から二千四百人槽の合併浄化槽が供用を開始。保守点検費が年額八百六万四千円,清掃料金が六百三十六万円,一戸あたりでは電気料を含め月額二千六百円。契約は「県浄化槽協会」と結ぶことになっていた。住民が千四百万円の根拠や自分たちで業者を選ばせて欲しいとの要求を出している。県の住宅課は住民を脅迫する文書まで出して,浄化槽協会との契約締結を迫っている。
 川永団地住民はなぜ,浄化槽協会とだけ契約を結ぶ義務があるのか。なぜ,他の業者ではだめなのか。
 新たな契約が結ばれるまでは,川永団地の合併浄化槽の管理は県の責任でおこなう必要があるのではないか。
■大山土木部長
 浄化槽の維持管理費用は共益費の一部であるという考えもあるが,条例にはその規定がない。川永団地の浄化槽の維持管理費用は妥当なものと判断。

村岡 和歌山県の県営住宅の合併浄化槽の清掃・保守点検はすべて,浄化槽協会に委託されている。団地住民は,協会から提示された料金を問答無用に押し付けられている。浄化槽保守点検業者の登録に関する条例で登録された業者は,二百二十一社(人)ある。
 なぜ「浄化槽協会」とだけ契約するのか
 県営住宅が浄化槽協会のみを契約の対象にしているのは,契約の一般競争入札の原則に反するのではないか。県の浄化槽協会が自分でいないで,支部の業者に任せていたら,「一括下請け」にあたるのではないか。
 共益費の規定をつくれ
県営住宅条例第二〇条は,個々の入居者が負担するものと,いわゆる共益費とよばれるものが一緒に含まれている。これでは空家の多い団地では,住民の負担が大きくなる。共益費の範囲を規定し,県として住民負担を軽減するように改善する考えはないか。
■大山土木部長
 浄化槽の維持管理費用は共益費の一部であるという考えもあるが,条例にはその規定がない。

村岡 和歌山市内の県営住宅の合併浄化槽の維持管理料金(清掃・保守点検)は,一人槽あたり六千円から九千円。県の総合庁舎では,西牟婁総合庁舎が千四十一円,日高総合庁舎が千七百五十三円,那賀総合庁舎が三千三百八十一円,いずれも地域の業者との契約である。県は,県営住宅の合併浄化槽の維持管理料金が適正かどうか調査する考えはないか。
■大山土木部長 
 県営住宅の浄化槽の維持管理業務については,浄化槽の規模が大きいこと,過去の実績や技術力,施設に異常が発生した場合の緊急対応能力を勘案し,県浄化槽協会に委託している。浄化槽の維持管理業務の契約についてより適切な方法があるかどうか,今後の研究課題としてまいりたい。

【3】介護保険問題について
村岡 「朝日」の連載では,三自治体の担当者が「開始時期の延期または制度の凍結を望む」と答えている。保険料徴収の延期が必要と考える。市町村からは「サービス基盤の確保」「住民の理解」「保険料徴集」「訪問調査員や認定審査会の委員,ケアマネージャーの確保」「要介護認定の公平性」が課題や問題点としてあげられている。
不服審査の申請は簡単に
 不服申請である「介護保険審査会」の人選は,介護の実態お熟知した人に。申請方法は窓口を広く設定し,郵送など簡単な方法でできるようにされたい。
 特別養護老人ホームに入れない人が多数でるのは確実。実態から離れた老人保健福祉計画を策定した県の認識は。
■小西福祉保健部長
 本庁以外に伊都,日高,西牟婁,東牟婁の各振興局に公益代表の合議体を設置。振興局もしくは市町村において対処したい。三種類の施設(老人福祉施設、老人保健施設、療養型医療施設)あわせて約八千床になっており、福祉施設に入所できない場合には、一時的に他の施設や居宅介護サービスを利用していただきたい。二万五千人を対象に要援護高齢者需要調査ならびに特養待機者調査は、七月中に公表する。

再質問
【合併浄化槽問題について】
村岡 大阪は共益費という名目で、電気代は住民が負担し、保守点検費は府が半額を補助している。奈良県では保守点検は県が負担し、電気料は住民が負担している。兵庫県は自治会と業者が自由に契約をしている例もある。京都は自治会と業者が自由に契約をしている。
 研究課題とするのではなく、ただちに検討をしていただきたい。
■大山土木部長 
 協会は技術管理者三名、管理士二名を擁し、24時間緊急対応できる体制を整えている。

再々質問
村岡 自ら下請に出していることを認めたことになる。下請にさせることが問題。川永団地の問題では、住民と十分話しあってもらいたい(この項は要望―答弁なし)

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